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中国茶の基礎

中国茶を6大分類で理解する — 緑茶・白茶・黄茶・青茶・紅茶・黒茶の違い

同じ茶樹から、なぜこれほど違う味が生まれるのか。中国茶の六大分類を「発酵度」ではなく「製法」の軸から整理し、鉄観音がそのどこに位置するのかまで具体的に見ていきます。

TeaGuanyin Academy 編集部 約6分

中国茶の詰め合わせを開けると、緑茶・白茶・黄茶・青茶・紅茶・黒茶と、六つの袋にそれぞれ違う名前が印字されていることがあります。同じ茶樹(チャノキ、学名カメリア・シネンシス)から作られていると聞くと、なぜここまで色も香りも違うのか、疑問に思う方も多いはずです。

答えは品種の違いではなく、摘んだあとの「作り方」にあります。中国茶の業界では、製法と茶の性質にもとづいて、ほぼすべての茶を六つの大分類に整理する考え方が定着しています※1。この記事では、その六大茶類を分ける実際の工程を軸に整理し、烏龍茶の代表格である鉄観音がどこに位置するのかまで具体的に見ていきます。

要点

中国茶の六大分類(緑茶・白茶・黄茶・青茶・紅茶・黒茶)を分けているのは茶樹の品種ではなく、摘採後の加工工程です。緑茶は早い段階で酵素の働きを止め、白茶と黄茶はそれぞれ異なる穏やかな工程を経て、青茶(烏龍茶)は部分的な発酵、紅茶は全発酵、黒茶は微生物による後発酵という道をたどります。鉄観音は福建省安渓県で生まれた品種による青茶で、清香型から濃香型まで発酵と焙煎の度合いに幅があります。

六大茶類を分けるのは「発酵度」ではなく「製法」

「緑茶は不発酵、烏龍茶は半発酵、紅茶は全発酵」という説明をよく見かけます。おおまかな理解としては使いやすいのですが、正確には茶葉の中で起きているのは微生物発酵ではなく、酵素による酸化反応です。茶葉に含まれるポリフェノールが酸化酵素の働きで変化し、色や香り、渋みの性質を変えていきます※2

この酸化をどの段階で止めるか、あるいはどこまで進めるかという工程の違いが、六大茶類を分ける実質的な軸になります。同じ「発酵度」という言葉で語られていても、黄茶の「悶黄(もんこう)」や黒茶の「渥堆(あくたい)」のように、酸化以外の化学変化——熱と湿気による変性や微生物の働き——が加わる分類もあるため、六つすべてを一本の発酵度メーターの上に並べるのは、あくまで簡略化した見取り図だと考えてください。

緑茶・白茶・黄茶 — 酸化を早く止める、あるいは緩やかに進める3タイプ

緑茶は、摘んだ茶葉を釜炒りや蒸気で加熱し、酸化酵素の働きを早い段階で止めます。茶葉の緑色と、生葉に近い清々しい香りが残るのはこのためです。黄茶は緑茶とほぼ同じ工程から始まりますが、加熱のあとに茶葉を包んで積み重ね、湿った熱の中でゆっくり色と香りを変化させる「悶黄」という工程が加わります。これによって、緑茶よりも角の取れた穏やかな味わいになります※1

白茶はこの二つとは異なり、加熱による酸化停止の工程をほとんど経ません。摘んだ芽と若葉をゆっくり萎凋(いちょう、自然乾燥に近い工程)させるだけで、そのぶん軽い酸化が進みます。工程がもっとも少ないぶん、茶葉本来の姿と穏やかな甘さが残る茶になります。

青茶・紅茶・黒茶 — 酸化を進める、あるいは別の変化を加える3タイプ

青茶(一般に烏龍茶と呼ばれる分類)は、茶葉を揺すって縁を傷つける「做青(さくせい)」という工程を繰り返し、傷ついた部分から酸化を進めます。中心は緑を残しながら縁だけ赤みを帯びる「緑葉紅鑲辺」と呼ばれる状態がその目印です。青茶は酸化の度合いにかなり幅があり、軽めのものから紅茶に近いところまで、同じ分類の中で味の振れ幅が大きい点が特徴です。

紅茶は、揉捻(じゅうねん、茶葉を揉む工程)で細胞を大きく壊し、酸化を最後まで進めます。ポリフェノールがテアフラビンやテアルビジンに変化し、赤い水色と、熟した果実やモルトを思わせる香りが生まれます。黒茶(プーアル茶を含む分類)は、これらとは種類の異なる変化をたどります。加熱で酸化をいったん止めたあと、茶葉を積み上げて水分と温度を管理しながら、微生物の働きで発酵させる「渥堆」という工程を経るため、他の五分類とは別の軸で語られることが多い茶です。

鉄観音は青茶のどこに位置するか

鉄観音は、福建省泉州市安渓県で生まれた茶樹の品種名であり、その品種から作られる青茶の銘柄名でもあります※3。同じ鉄観音でも、香りを立たせることを重視した清香型は酸化と焙煎が控えめで、緑に近い水色と花のような香りが際立ちます。一方、濃香型はしっかり焙煎をかけるため、水色は琥珀色に近づき、香ばしさとコクが前面に出ます。どちらも青茶という同じ分類に属しながら、仕上げの選択で印象が大きく変わる例だといえます。

見分け方の実践 — 乾いた茶葉と茶湯から読み取る

実際に見分けるときは、乾いた茶葉の色、注いだあとの水色、そして香りの三点を順番に確認すると手がかりが揃います。緑茶は緑色の茶葉と薄い黄緑の水色、白茶は白い産毛の残る芽と淡い水色、紅茶は赤褐色の茶葉と赤い水色というように、分類ごとにおおまかな傾向があります。

ただし、この見分け方だけに頼るのは危険です。青茶は酸化の幅が広いため、色だけでは白茶や紅茶と紛らわしい銘柄も存在しますし、黒茶は熟成年数によって水色の濃さが大きく変わります。色や形はあくまで最初の手がかりであり、最終的には香りと味、そして可能であれば産地や工程の表示を合わせて確認するのが確実です。

つまずきやすい点

もっとも多い誤解は、「発酵度が高いほど良い茶」という序列で六大茶類を捉えてしまうことです。実際には、それぞれの分類が目指す味の方向性が違うだけで、優劣の関係にはありません。淡く清々しい緑茶を好む人もいれば、熟成した黒茶の奥行きを好む人もいます。

もう一つのつまずきは、「烏龍茶」という言葉を単一の味だと思い込んでしまうことです。青茶という分類の中には、酸化を軽くとどめた清香型から、紅茶に近いところまで酸化を進めた濃香型まで幅広い作り方が含まれており、酸化度の目安として提示される数値は資料によってかなりの幅があります※2。同じ「烏龍茶」の棚に並んでいても、隣の銘柄とはまったく違う体験になることは珍しくありません。分類名を覚えることより、目の前の一種類をよく見て、よく飲んで確かめる姿勢のほうが、最終的には役に立ちます。

次に読む

六大分類の見取り図ができたら、次は手元にある茶葉を実際にどう選び、どう保管するかが気になるはずです。茶葉の選び方と保存方法を、鮮度の見分け方から具体的にまとめた記事で、購入後にすぐ使える手順を確認できます。

また、この記事で触れた鉄観音についてさらに深く知りたい方は、鉄観音の清香型と濃香型の違いを掘り下げた記事もあわせてご覧ください。

参考文献

  1. 日本中国茶協会. 「中国茶の分類と製造方法」. 日本中国茶協会公式サイト(本稿執筆時点の情報)。
  2. Britannica. "Tea." Encyclopaedia Britannica(本稿執筆時点の情報。酸化度の数値は資料により幅がある)。
  3. 「鉄観音」. ウィキペディア日本語版(本稿執筆時点の情報。最新の記述は同ページを参照のこと)。

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