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鉄観音

鉄観音とは — 清香型と濃香型の違いと選び方

鉄観音は中国・福建省安渓県が原産の烏龍茶(青茶)です。清香型は軽い焙煎で花のような香りを残し、濃香型は炭火焙煎で深く甘い香ばしさを持たせます。両者の製法上の違いを整理し、好みや淹れる場面に応じた選び方を、確認できる事実に基づいて考えます。

TeaGuanyin Academy 編集部 約6分

茶葉店やオンラインショップで「鉄観音」を探すと、同じ名前なのに「清香型」「濃香型」とラベルが分かれていて、香りも色もまったく違う商品が並んでいることに戸惑った経験はないでしょうか。どちらも同じ茶樹から作られた烏龍茶でありながら、製法の一部が異なるだけで、香りの方向性も、抽出時の反応も変わります。

この記事では、鉄観音がどのようなお茶かという基本から、清香型と濃香型を分ける製法上の違い、そして好みや場面に応じた選び方までを、確認できる事実に基づいて整理します。

要点

鉄観音は中国・福建省安渓県が原産の烏龍茶(青茶)で、専用の茶樹品種から作られます※1。清香型は焙煎(焙煎工程)を軽くとどめて花のような香りを残すタイプ、濃香型は炭火などで複数回焙煎し、より深く甘い香ばしさを持たせたタイプで、この違いは化学成分や官能評価の差としても報告されています※2。どちらが優れているかではなく、香りの好みや淹れ方の手間のかけ方に応じて選ぶのが実用的です。

鉄観音は福建省安渓県が原産の烏龍茶(青茶)

鉄観音は、中国茶の6大分類でいう青茶(烏龍茶)に属するお茶です。青茶は緑茶と紅茶の中間にあたる半発酵茶で、鉄観音の場合、専用の茶樹品種「鉄観音」種の葉を使って作られます。この品種は福建省安渓県西坪鎮を原産地とし、1985年には中国の国家優良品種として登録されています※1。緑茶や紅茶と違い、発酵度合いや揉捻・焙煎の工程によって仕上がりの幅が大きいことが、青茶というカテゴリー全体の特徴でもあります。六大分類のなかでの位置づけは、以前の記事でも整理しています。

球状に丸く揉み込まれた茶葉は、湯を注ぐとゆっくりとほどけていきます。この形状自体は清香型・濃香型どちらにも共通しており、両者を分けるのは主に発酵の程度と、その後の焙煎工程です。

清香型と濃香型 — 何が違うのか

清香型(せいこうがた)は、発酵をやや軽めにとどめ、仕上げの焙煎も短時間・低温で抑えることで、蘭のような花香と、緑茶に近い爽やかさを残すスタイルです。1990年代以降、この明るく香り高いタイプが市場の主流になっていったとされています。一方、濃香型(のうこうがた)は伝統的な作り方に近く、炭火などで時間をかけて複数回焙煎することで、穀物やドライフルーツを思わせる甘く深みのある香りに仕上げます。

この違いは印象論だけではありません。焙煎工程が茶葉の化学成分や官能評価に与える影響を調べた研究では、焙煎の有無・強さによって香り成分の構成や味わいの評価が明確に変化することが報告されています※2。つまり清香型と濃香型は、同じ品種の茶葉に対して異なる焙煎処理を施した結果生まれる、別の仕上がりだと理解すると整理しやすくなります。

味わいと抽出時の違い

清香型は香りが華やかに立ちやすい反面、渋みや欠点が出やすく、湯温が高すぎたり抽出時間が長すぎたりすると角が立った味になりがちです。濃香型は焙煎によって角が取れているぶん、多少湯温や時間がぶれても大きく崩れにくく、扱いやすいと感じる方も少なくありません。ただし、これはあくまで一般的な傾向であり、同じ清香型・濃香型のなかでも茶葉の品質や仕上がりにはかなりの幅があります。

どちらを選ぶといいか — 好みと場面で考える

初めて鉄観音を試すなら、香りの違いが分かりやすい清香型から入り、余裕が出てきたら濃香型で深みのある味わいを試す、という順番は理にかなっています。逆に、緑茶に近い爽やかな香りより、じっくりした甘みや香ばしさを好む方には、最初から濃香型のほうがしっくりくることもあります。日常的に何煎も繰り返し淹れて楽しみたい場合は、多少の淹れ方のぶれに強い濃香型のほうが扱いやすい場面が多いでしょう。

もっとも、焙煎スタイルの違いは好みの入り口にすぎず、品質の良し悪しとは別の軸です。焙煎の強さで元の茶葉の欠点をごまかしている場合もあれば、軽い焙煎でも素材の良さがそのまま伝わってくる場合もあります。ラベルの清香・濃香だけで判断せず、可能であれば試飲したり、少量から購入して自分の口に合うかを確かめることをおすすめします。

次に読む

実際に鉄観音を淹れてみたい方は、複数回抽出で香りの変化を楽しむ工夫式の淹れ方をまとめた記事を続けて読むと、清香型・濃香型どちらにも応用できる手順がつかめます。

鉄観音を含む中国茶全体の分類を先に押さえておきたい方は、6大分類で中国茶の違いを整理した記事もあわせてご覧ください。

参考文献

  1. Guo, Y., Zhu, C., Zhao, S., et al. "De novo transcriptome and phytochemical analyses reveal differentially expressed genes and characteristic secondary metabolites in the original oolong tea (Camellia sinensis) cultivar 'Tieguanyin' compared with cultivar 'Benshan'." BMC Genomics, 20:265, 2019.
  2. Gao, Y., Cao, Q.-Q., Chen, Y.-H., et al. "Effects of the Baking Process on the Chemical Composition, Sensory Quality, and Bioactivity of Tieguanyin Oolong Tea." Frontiers in Nutrition, 9:881865, 2022.
  3. Lamberty, R. "What Is Tieguanyin? A Guide to Anxi Oolong, Qing Xiang & Chuan Tong Styles." New York Tea Society.(本稿執筆時点の情報。最新情報は公式サイトを参照のこと。)

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