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テイスティングと茶文化

家庭でできる中国茶のテイスティング練習 — 比較で舌を鍛える

同じ鉄観音を淹れ方を変えて飲み比べる、2種類の茶を同時に淹れて比べるなど、家庭で舌を鍛えるための再現できる比較テイスティングの練習方法と記録の取り方を紹介します。

TeaGuanyin Academy 編集部 約5分

香り・味わい・余韻の語彙を覚えても、一杯だけ飲んで「これが鉄観音の味」と決めてしまうと、語彙は宙に浮いたままになります。舌の感覚は、比較して初めて具体的になります。同じ茶でも淹れ方を変えるとどう違うのか、似た茶を並べるとどこが違うのか——その差に気づく練習を重ねることで、言葉と感覚が結びついていきます。

この記事では、家庭にある道具だけでできる比較テイスティングの練習を2つ紹介します。プロの鑑定のように多くの茶を並べる必要はなく、まずは1回につき2杯を比べることから始めれば十分です。

要点

舌を鍛える最短の方法は、条件をそろえた比較テイスティングです。①同じ茶を湯温または浸出時間だけ変えて2通りに淹れる練習と、②似た系統の2種類の茶を同時に淹れて並べて比べる練習の2つを、茶器・茶葉量・湯量・タイマーという条件をそろえた上で行うと、違いの原因を特定しやすくなります。テイスティングノートに毎回同じ項目を書き残すことで、比較が積み重なり、語彙が自分の感覚と結びついていきます。

前提:比較のために条件をそろえる

比較で意味のある違いを見つけるには、変える要素をひとつだけに絞り、それ以外の条件をそろえる必要があります※3。具体的には、同じ形・同じ容量の茶器を2つ用意し、茶葉の量、注ぐ湯の量、そして時間を計るタイマーをそろえてください。器の形が違うだけでも、茶葉が湯に触れる面積が変わり、抽出の進み方が変わってしまいます。

また、鼻や舌の感覚は、直前に食べたものや飲んだものの影響を受けやすいものです。強い香りの食事の直後や、コーヒーを飲んだ直後は避け、できれば水を一口含んでから始めると、条件がそろいやすくなります。

練習1:同じ茶を2通りの淹れ方で比べる

同じ茶葉を2つの茶器に同量ずつ入れ、片方だけ湯温を下げる、あるいは浸出時間を長めにするなど、変える要素をひとつだけ決めて淹れます。たとえば鉄観音であれば、片方は熱湯に近い温度で20〜30秒ほど、もう片方は少し湯温を下げて同じ時間、というように条件を1つだけずらします。湯温と時間の目安は湯温・茶葉と湯の比率・浸出時間を扱った記事を参照してください。

飲み比べると、渋味の出方や甘味の立ち上がり方に違いが出るはずです。どちらが「正解」というより、自分の好みがどちらに近いかを確認する練習だと捉えてください。

練習2:2種類の茶を並べて同時に淹れる

似た系統の茶——たとえば清香型と濃香型の鉄観音、あるいは産地の異なる同じ茶類——を、同じ条件で同時に淹れて並べます※3。同時に淹れることで、時間経過による香りの変化という余計な変数を排除でき、純粋に茶そのものの違いに意識を向けられます。

乾いた茶葉の見た目、淹れた直後の香り、茶湯の色、そして口に含んだときの違いを、順番に見比べていきます。どちらの茶かを伏せた状態で試すと、思い込みの影響を減らせるため、家族や友人と一緒に行う場合は、茶葉の名前を紙で伏せておくとより公平な比較になります※2

記録の取り方 — テイスティングノート

比較の効果を積み重ねるには、記録が欠かせません。毎回同じ項目を書くのがコツです。日付、茶の名前、湯温、浸出時間、香り(乾茶・直後・飲んだ後)、味わい(苦味・渋味・甘味・コク)、余韻(回甘・喉韻の有無)を、簡単な単語でよいので書き残してください※1。数か月分たまると、自分がどの傾向の茶を好むか、どの淹れ方に癖があるかが見えてきます。

つまずきやすい点

比較テイスティングでよくあるつまずきは、一度に3種類も4種類も並べてしまうことです。舌の感覚は連続して試すうちに鈍くなっていくため、家庭での練習では2杯までにとどめるほうが違いを捉えやすくなります。

もっとも、記録をつけていても、自分の評価が毎回まったく同じ言葉に落ち着くとは限りません。その日の体調や気温によって感じ方が変わるのは自然なことで、それ自体を気にする必要はありません。大切なのは、条件をそろえた比較を重ねること自体です。

次に読む

ここで使う語彙をあらためて確認したい場合は、香り・味わい・余韻を捉える基本語彙をまとめた記事を先に読むと、比較の際に何を意識すればよいかが整理しやすくなります。

実際に一つの茶を複数の淹れ方で比べた記録の実例は、同じ鉄観音を3つの淹れ方で飲み比べた記録で公開しています。どこが変わり、どこが好みの問題だったかを具体的に確認できます。

参考文献

  1. All About「お茶ノートをつけよう♪ テイスティングノートのすすめ」All About(本稿執筆時点の情報)。
  2. 中国茶情報局「お茶を飲む人がよく使う"回甘"とは何か?」2023年5月11日。
  3. Royal New York. "How To Guide for Cupping and Evaluating Tea." Royal New York(比較評価では茶器・茶葉量・湯温・時間をそろえることが基本とされる。本稿執筆時点の情報)。

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