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鉄観音

鉄観音を工夫式で淹れる — 複数回抽出で移りゆく香りを楽しむ

鉄観音は蓋碗を使い、少量の湯で短時間・複数回に分けて淹れる工夫式(こうふうしき)が向いています。茶葉と道具の前提から番号付きの手順、湯温や抽出時間の目安、確認のポイント、つまずきやすい点までを、そのまま再現できる形で整理しました。

TeaGuanyin Academy 編集部 約5分

鉄観音を1回だけ長く抽出して飲むと、香りが混ざり合って「なんとなく烏龍茶らしい味」で終わってしまうことがあります。この茶葉のよさは、実は1煎ごとに少しずつ違う顔を見せるところにあります。それを引き出すのが、少量の湯で短く何度も淹れる工夫式(こうふうしき)の淹れ方です。

この記事では、蓋碗(がいわん)を使った鉄観音の工夫式抽出を、前提の確認から手順、目安の数値、つまずきやすい点まで、そのまま真似できる形で整理します。

要点

鉄観音の工夫式は、蓋碗の3分の1程度まで茶葉を入れ、熱湯で短いリンス後、1煎目を約30秒、以降の煎は少しずつ抽出時間を延ばして5〜6煎ほど楽しむのが基本です※1。数値はあくまで出発点であり、清香型か濃香型か、茶葉の量、好みの濃さによって調整が必要です。焙煎の強さによって適した湯温や抽出時間の幅も変わるため※3、最初の数煎は味を見ながら微調整してください。

前提 — 茶葉・道具・湯量を決めておく

始める前に3点を確認します。まず茶葉は清香型・濃香型のどちらか(鉄観音の清香型と濃香型の違いを解説した記事を参照)を把握しておくと、湯温の目安が立てやすくなります。次に道具は、蓋碗(100〜120ml程度のもの)と茶海(ちゃかい/湯を受ける器)、飲むための小さな杯を用意します。最後に、蓋碗の3分の1程度を目安に茶葉を入れられる分量を用意しておきます。目安としては120mlの蓋碗に対して4g前後です※1

蓋碗を初めて使う方は、まず湯を大きめの器に沸かしておき、蓋碗は素手で扱える温度になるまで練習してから茶葉を入れると、やけどを避けやすくなります。

手順 — 工夫式で鉄観音を淹れる

1. 蓋碗を温める

蓋碗に熱湯を少量注ぎ、全体を温めてからその湯は茶海や杯に移して捨てます。器を先に温めておくことで、茶葉を入れたときの温度低下を防げます。

2. 茶葉を入れ、リンスする

蓋碗の3分の1程度まで丸まった茶葉を入れ、熱湯を注いだらすぐに(数秒以内に)湯を切ります※1。この最初の湯は飲まずに捨てます。丸く締まった茶葉をほどき、表面の細かな粉やほこりを流すための工程です。

3. 1煎目を淹れる

再び湯を注ぎ、約30秒待ってから茶海に注ぎ切ります※1。茶葉がまだ十分にほどけていないため、他の煎より少し長めの時間が目安になります。ここまでで1煎目が飲めます。

4. 2煎目以降を淹れる

2煎目以降は、1煎ごとに抽出時間を少しずつ延ばします。目安としては、前の煎より5〜10秒ずつ長くしていく形です※1。茶葉が開くにつれて香りの出方が変わるため、同じ時間で淹れ続けると後半は味が薄く感じられます。

5. 5〜6煎目まで様子を見る

資料によっては10煎以上抽出できるとする例もありますが※2、家庭で無理なく楽しめる目安としては5〜6煎程度を想定しておくと扱いやすいでしょう。香りが弱くなってきたと感じたら、そこで切り上げてかまいません。

目安の数値(出発点として)

  • 茶葉量:120ml前後の蓋碗に対して4g前後※1
  • 湯温:清香型はやや低め(90℃前後)、濃香型は熱湯に近い温度が目安※3
  • リンス:熱湯を注いで数秒以内に湯切り
  • 1煎目:約30秒
  • 2煎目以降:前の煎より5〜10秒ずつ延ばす
  • 煎数:5〜6煎を目安に、香りが弱くなったら終了

これらはあくまで出発点です。香りの感じ方には個人差があり、茶葉の鮮度や焙煎の強さによっても最適な時間は変わるため、最初の数回は味を見ながらお好みで調整してください。

確認 — うまく淹れられているかの目安

1煎目の水色(すいしょく)が薄い黄色〜黄金色で、香りに渋みではなく甘さや花香を感じられれば、抽出は概ね適切だといえます。逆に舌の奥がぎゅっと締まるような強い渋みが出た場合は、湯温が高すぎたか、抽出時間が長すぎた可能性があります。

つまずきやすい点

もっとも多い失敗は、1煎目から長く抽出しすぎることです。茶葉がまだ固く締まっている段階で長時間浸すと、表面だけが過抽出になり、渋みが先に出てしまいます。逆に、2煎目以降も1煎目と同じ短い時間のままだと、香りが十分に出ないまま終わってしまいます。

ただし、この工夫式の数値は清香型を想定した目安に近く、濃香型ではもう少し高い湯温・やや長めの時間でも渋みが出にくい傾向があります。使っている茶葉のタイプに応じて、数値そのものより「香りと渋みのバランス」を基準に微調整する意識のほうが重要です。

次の一歩

湯温・茶葉と湯の比率・浸出時間という3つの基本を、鉄観音に限らずお茶全般で理解しておきたい方は、湯温・比率・浸出時間の基本をまとめた記事を読むと、他の中国茶にも応用できる考え方が身につきます。中国茶の淹れ方をさらに体系的に学びたい方は、中国茶ファンダメンタル講座(コース案内)でも扱っています。

参考文献

  1. ZhenTea. "How to Brew Tie Guan Yin (Iron Goddess) Tea." ZhenTea.(本稿執筆時点の情報。最新情報は公式サイトを参照のこと。)
  2. Hu, F. "Anxi Tie Guan Yin Oolong Tea: Master the Perfect Brew." Chinese Tea Group.(本稿執筆時点の情報。煎数の目安は茶葉や好みにより幅がある。)
  3. Gao, Y., Cao, Q.-Q., Chen, Y.-H., et al. "Effects of the Baking Process on the Chemical Composition, Sensory Quality, and Bioactivity of Tieguanyin Oolong Tea." Frontiers in Nutrition, 9:881865, 2022.

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