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淹れ方・茶器

蓋碗・急須・マグカップ — 淹れる道具を目的別に比べる

蓋碗・宜興急須・マグカップは、同じ茶葉でも得意な場面が違います。茶種への適性・手間・習熟のしやすさという3つの軸で比べ、最初の1つに何を選ぶべきかを整理します。

TeaGuanyin Academy 編集部 約4分

中国茶を淹れる道具としてよく名前が挙がるのは、蓋碗(がいわん)、宜興(ぎこう)の急須、そして普段使いのマグカップです。どれか1つが「正解」というわけではなく、それぞれ得意な場面が異なります。

初めて道具を選ぶときに迷いやすいのは、価格や見た目だけで比較してしまい、実際に使う場面との相性を後回しにしてしまうことです。ここでは、茶種への適性・手間・習熟のしやすさという3つの軸で3つの道具を比べます。

要点

蓋碗はどんな茶種にも使え、茶葉そのものの個性を確かめやすい反面、扱いに多少の練習が要ります。宜興急須は特定の茶(烏龍茶や黒茶など)と長く付き合うことで味が育つ道具で、操作自体は蓋碗より簡単です。マグカップと茶こしは手間が最小で失敗もしにくい一方、複数煎を楽しむ淹れ方には向きません。初めての1つを選ぶなら、汎用性の高さから蓋碗を軸にするのが無難です。

比較の軸:何を基準に選ぶか

この記事では、①どの茶種に向くか、②準備と後片付けの手間、③初心者がどれだけ早く扱えるようになるか、の3つを軸にします。価格は道具の素材やブランドによって大きく変わるため、ここでは扱いません。

蓋碗 — 茶そのものを確かめる道具

蓋碗は碗・蓋・受け皿のシンプルな構造で、素材が磁器であれば匂い移りが少なく、緑茶から黒茶までほぼすべての茶種に使えます※1。湯温や浸出時間を変えたときの違いがそのまま味に出るため、同じ茶葉を淹れ方違いで比較したいときに向いています。

一方で、縁を持って隙間から注ぐ操作には慣れが必要で、最初の数回は熱さや注ぎこぼしに戸惑う人が多いのも事実です。この操作の詳細は、蓋碗の使い方を扱った記事で手順化しています。

宜興急須(急須)— 熟成させながら育てる道具

宜興急須は江蘇省宜興産の紫砂(しさ)と呼ばれる陶土で作られる急須で、使い込むほど土が茶の香りを吸い、その茶専用の道具として味わいが変化していくとされます※2。操作自体は蓋碗より簡単で、取っ手があるため火傷の心配も少なく、保温性が高いため熱を保ちたい濃香型の烏龍茶やプーアル茶と相性が良いとされています。

ただし、1つの急須を複数の茶種で使い回すと香りが混ざりやすいため、基本的には1つの茶(あるいは近い系統の茶)専用として使うことが前提になります※2。何種類もの茶を試したい段階では、扱いにくさにつながることがあります。

マグカップ・ティーインフューザー — 手軽さを取る選択

マグカップに茶こしやインフューザーを入れて淹れる方法は、準備も後片付けも最小で、失敗による損失も小さいのが利点です。出張先やオフィスなど、道具を持ち歩けない場面ではもっとも現実的な選択になります。

もっとも、茶葉と湯が長時間触れたままになりやすいため、蓋碗や急須で行う短時間・複数煎の淹れ方に比べると、香りの変化や余韻の違いを感じ取りにくくなります。手軽さと引き換えに、味の解像度は下がると考えておいてください。

どれから始めるか

これから試す茶葉の幅を広げていきたい場合は、汎用性の高さから蓋碗を最初の1つにするのが無難です。すでに気に入った茶種が1つ決まっている場合は、その茶専用に宜興急須を育てていく選び方も理にかなっています。日常的にとにかく手軽に飲みたい場面では、マグカップと茶こしを併用しても構いません。3つは排他的なものではなく、場面によって使い分けるものだと考えると選びやすくなります。

次に読む

蓋碗を選んだ場合は、まず基本の持ち方と淹れ方の手順を確認してください。蓋碗の使い方を手順化した記事で、火傷しない持ち方から二煎目以降の淹れ方までを扱っています。

どの道具を選んでも、湯温・比率・時間という3つの変数の考え方は共通しています。おいしく淹れる3つの基本を整理した記事もあわせてご覧ください。

参考文献

  1. Mansa Tea. "6 Reasons to Brew with a Gaiwan (vs. Infuser, Yixing)." Mansa Tea.(本稿執筆時点の情報)。
  2. Teasenz. "Ultimate Gaiwan vs Yixing Guide." Teasenz.(本稿執筆時点の情報。紫砂急須の一般的な特性に関する説明を参照)。

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