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淹れ方・茶器

湯温・茶葉と湯の比率・浸出時間 — おいしく淹れる3つの基本

同じ茶葉なのに、日によって味が変わることがあります。原因の多くは茶葉ではなく、湯温・茶葉と湯の比率・浸出時間という3つの変数です。茶種別の目安と、味を見ながら調整する考え方を整理します。

TeaGuanyin Academy 編集部 約6分

同じ袋から取り出した鉄観音なのに、淹れるたびに味がぶれる——そんな経験をしたことはないでしょうか。茶葉が急に劣化したわけではなく、多くの場合は淹れ方の側、具体的には湯温・茶葉と湯の比率・浸出時間という3つの変数のどこかがずれていることが原因です。

この3つは互いに影響し合います。湯温が高ければ同じ時間でも抽出は早く進みますし、茶葉の量を増やせば短い時間でも十分な濃さになります。3つを同時にいじると何が効いたのか分からなくなるため、まずは順番に決めていくやり方をおすすめします。

本稿では、茶種別のおおよそのスタートラインを示したうえで、実際に淹れながら自分の好みに近づけていく手順を整理します。

要点

おいしい一杯は、①湯温、②茶葉と湯の比率、③浸出時間という3つのレバーで決まります。茶種ごとにおおよそのスタートライン(緑茶は70〜80℃前後、青茶・紅茶は90℃台、黒茶は熱湯に近い温度など)はありますが、これは固定の正解ではなく調整の出発点です。一煎目を飲んで渋み・薄さを確認し、次の一杯で1つの変数だけを動かすと、狙った味に近づけやすくなります。

前提:淹れる前に決めておくこと

手順に入る前に、3点だけ確認してください。1つ目は使う茶葉の種類です。緑茶・白茶・青茶(烏龍茶)・紅茶・黒茶では、望ましい湯温も浸出時間もかなり違います。2つ目は茶器の容量、つまり一度に使う湯量です。3つ目は茶葉のおおよその量で、キッチンスケールがあれば1g単位で量れると再現性が高まります。

湯量と茶葉の量が決まれば、比率は自動的に決まります。逆に言えば、比率だけを覚えていても茶器を変えた瞬間に計算が狂うため、まず湯量を先に固定しておくのが実務的です。

手順:3つのレバーを順に決める

次の3ステップを、この順番で決めていきます。

①湯温を決める

沸かしたての熱湯をそのまま使うのではなく、茶種に応じて温度を落とします。繊細な緑茶や白茶は湯温が高すぎると青臭さや渋みが立ちやすく、しっかり発酵・焙煎された紅茶や黒茶は逆に高めの湯温でないと香りが開きにくくなります※1。温度計がなくても、沸騰した湯を一度別の器に移すだけで数十℃下がるため、大まかな目安として覚えておくと便利です。

②茶葉と湯の比率を決める

急須やマグカップでゆったり淹れる場合は、湯100mlあたり茶葉1g前後が一般的な出発点です※3。蓋碗(がいわん)を使って短時間で何煎も楽しむ工夫式(こうふうしき)の場合は、同じ100mlあたり3〜5g程度まで茶葉を増やし、その分浸出時間を大きく短くします。どちらの淹れ方を選ぶかで比率の考え方がまったく異なる点は覚えておいてください。

③浸出時間を決める

比率を決めたら、最後に時間です。茶葉が少なめ・湯がぬるめなら時間は長めに、茶葉が多め・湯が熱めなら時間は短めにするのが基本の関係になります。同じ茶葉・同じ湯温でも、比率を変えたのに時間を据え置くと、狙った濃さから外れやすくなります。

目安の数値:茶種別のスタートライン

以下は、急須やマグカップでゆったり淹れる場合のおおよそのスタートラインです。産地や加工、個々の茶葉のコンディションによって幅があるため、数値そのものより「この順番で調整する」という考え方を持ち帰ってください。

茶種湯温の目安比率の目安(湯100mlあたり)浸出時間の目安
緑茶70〜80℃前後茶葉1g前後2〜3分
白茶75〜85℃前後茶葉1〜1.5g4〜5分
青茶(烏龍茶・鉄観音など)90〜95℃前後茶葉1〜1.5g3〜5分
紅茶95℃〜熱湯茶葉1g前後3〜5分
黒茶(プーアルなど)熱湯に近い高温茶葉1〜1.5g3〜5分(洗茶後)

この表はいずれも一般的な目安であり※2、蓋碗で複数煎に分けて淹れる工夫式ではまったく別の数値になります。工夫式の具体的な手順は、蓋碗の使い方を扱った記事で詳しく説明しています。

確認:一煎目の味で判断する

スタートラインの数値で淹れたら、まず一口飲んで判断します。渋みや苦みが強すぎる場合は、湯温を少し下げるか、浸出時間を短くします。逆に味が薄く物足りない場合は、茶葉の量を増やすか、浸出時間を延ばします。

調整するときは、一度に1つの変数だけを動かしてください。湯温と時間を同時に変えると、次に淹れたときにどちらが効いたのか分からなくなり、再現性のある「自分の淹れ方」にたどり着けません。

つまずきやすい点

もっとも多い失敗は、沸かしたての熱湯をすべての茶種に使ってしまうことです。緑茶や白茶に熱湯を使うと、渋み成分が急速に出て、香りより先に苦みが立ちます。逆に紅茶や黒茶にぬるい湯を使うと、香りが開かないまま薄い水色で終わってしまいます。

ただし、この表の数値がすべての茶葉に当てはまるわけではありません。同じ青茶でも、軽く発酵させたものとしっかり焙煎したものでは、望ましい湯温がずれることがあります。表はあくまで出発点とし、最終的には自分の一煎目の味で微調整してください。香りの感じ方や渋みの捉え方には個人差もあるため、数値を絶対視しすぎないことも大切です。

次に読む

蓋碗を使うと、この3つの変数をより細かく、複数煎にわたってコントロールできます。蓋碗の基本の持ち方と淹れ方の手順を解説した記事で、実際の操作を確認してください。

数値を合わせられるようになったら、次は味の捉え方そのものを鍛える段階です。香り・味わい・余韻の基本語彙とテイスティングの手順をまとめた記事もあわせてご覧ください。

参考文献

  1. Yunnan Sourcing Tea Shop. "Brewing Guide for Green, Black, Oolong and Pu-erh Teas." Yunnan Sourcing.(本稿執筆時点の情報。茶葉の状態や好みにより調整の余地がある)。
  2. Art of Tea. "Tea Steeping Times: How Long to Steep Every Tea." Art of Tea.(本稿執筆時点の情報)。
  3. Steep Atlas. "Gongfu Brewing Guide: Method, Parameters, Setup." Steep Atlas.(本稿執筆時点の情報。比率は方法や茶種により幅がある)。

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